こじらせ社長のお気に入り
社長にそっと近付いた副社長が、その頭をボカッと叩いた。

「馬鹿なのか?」

「いってぇなあ」

「笹川さんが逃げる準備を始めても知りませんよ。むしろ、手助けしますから」

あまりの事態に行動を起こさないでいる私に恐る恐る、近付いてくる社長。

この人、やっぱり軽い。軽過ぎる。
ノリだけで生きてるんじゃない???

「さ、笹川ちゃん?」

そっと顔を覗き込まれるも、なお動けないでいた。


シーンとしたオフィス内に、全員の焦りが広がっていく。


「社長、本気だったんですね?」

「うんうん。笹川さん大好き光線、出しまくってましたもんね」

「そうそう。でも、ついに?」

「妄想じゃないですよね?」

「えっ?思い込みで起こした行動なの?」

「それ、もう犯罪の域だから」


…………







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