こじらせ社長のお気に入り
そして、すっと真面目な表情に戻ると、颯太君を正面から見据えた。

「山城さん。柚月を絶対に幸せにしてやってください。
それから、仕事の方も、よろしくお願いします」

真摯に頭を下げる勇斗に、颯太君も背筋を伸ばす。

「もちろんです」

「じゃあ、また。あっ、山城さん。ごちそうさまです」

勇斗はニヤリと笑うと、コーヒーの支払いを颯太君に押し付けて、健やかに去っていった。



何事もなく、きちんと話ができたことに安堵して長い息を吐くと、颯太君が肩をポンポンとしてくる。

「お疲れさま」

「颯太君も、ありがとう」

「ああ。これでけじめも付けられたし、解禁だな」

「なにが?」

と、振り向きざまに、唇を奪われる。

「なっ、ちょっと。人前でなにしてるの!?」

「人前じゃなきゃいいんだな?」

ニヤリと笑うと、私の肩を抱き寄せて、耳元に口付ける。

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