こじらせ社長のお気に入り
「明日は休みだ。このまま、俺のマンションに連れ帰るけど、異論は?」

女の子の事情とか、着替えやメイク道具がないとか、言ってやりたい文句は次々に浮かぶ。それなのに、どれ一つ言う気になれない自分が情けない。

そんな心情を見透かすように、再び耳元で囁かれる。


「ここで流されずして、どこで流されるつもりだ?」


ああ、もうだめ。
敏感な耳元で囁かれれば、ゾクリとしてそれ以上なにも考えられなくなる。

降参だ。


「異論なしです」







END
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