必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
7章 リーズの恋
美味しそうな匂いがエイミの鼻をくすぐる。テーブルの上に並ぶのは、蒸し野菜のサラダ、赤豆のスープ、南方風に薄く焼いたパン、そして今夜のメインディッシュの魚料理だ。
その夕食の席で、ジークはにこやかに宣言した。
「今日はとても楽しかった。俺は決めたぞ。月に一度くらいは、こうして皆でどこかに出かけよう」
今日のピクニックが彼はとても気に入ったようだ。エイミは大賛成だったが、ナットがうぇっと舌を出した。
「俺はパス。付き合うのは今回だけって言ったろ」
「そうか……。ナットはつまらなかったのか」
ジークがあからさまに落ち込んだ顔を見せるので、ナットは少し慌てたように言葉を繋いだ。
「いや、つまるとかつまらないとか、そういうことじゃなくて……俺はもう家族でピクニックってほど子供じゃないし」
「あぁ、それもそうだな。じゃあ、次は男らしく鷹狩りにしようか」
ジークはにこにこ顔で、そう提案した。ナットは自分の主張が全く伝わっていないことを悟り、がくりと肩を落とした。
エイミがどうフォローすべきか考えていると、リーズが先に口を開いた。
「違うわよ、ジーク様。ナットは思春期ってやつで、家族でお出かけとかそういうイベントが恥ずかしいお年頃なのよ」
「ほぅ。そういうものなのか?」
ジークはナットに問いかけるが、ナットは「別に」とそっぽを向いてしまった。
こういうとき、声を荒げたり、暴れたりしないあたり、ナットはとても良い子だとエイミはしみじみ思った。