必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
「出てけってことかよ?」

 絞りだすような声でナットは言う。

「俺は身寄りのない孤児を預かっているだけだ。返すべき場所が見つかっなのなら、返すべきだと、そう思っている」

 ジークはナットの顔を見なかった。
 ガタンと乱暴な音をたてて、ナットは立ち上がった。

「わかったよ、出てけばいいんだろ。いいよ。継いでやるよ、そのなんとか家ってやつ」

 ナットは吐き捨てるように言うと、リーズの制止を振り切って部屋を出て行った。

「……私も。ジーク様には悪いけど、今回ばかりはナットの味方よ」

 リーズはそう言って、ナットを追いかけて出て行った。

「……僕は参加しませんよ。こんな陳腐な茶番劇には」

 アルは軽く肩をすくめると、何事もなかったように食事を続ける。
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