必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
「あはは。烏ちゃん、残念。姉としても力不足だってさ」
「そ、そんなぁ」
「ちょうどよかった。ナットと話をしたいと思ってたんだ。おいで」

 アルはナットを呼び寄せたが、当然のようにリーズとアンジェラもついてきた。それならばと、エイミは三つ子達も連れてくることにした。

 アルは神妙な顔で話しはじめた。

「ナットを責めるつもりはまったくないけれどね……ジーク様がああも意地を張っているのは、ここに来た頃のナットの様子を忘れられないからだと思うよ」
「俺? ここに来たのは、七年前くらいだっけ。正直、そんなに覚えてないけど」
「ナットは九歳だったかな。お母さん、お母さんって泣き続けて、食べないし寝ないし、冗談じゃなく衰弱死してしまいそうだったんだよ」
「へ~! ナットにもかわいい一面があったのね。マザコ……」
「うるさい!」

 顔を真っ赤にして怒るナットに、リーズはくすりと笑みを返した。
< 188 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop