必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
「うそ、うそ。冗談よ。私だって、そうだったもん。パパとママが急にいなくなって、超怖い顔のお兄さんといきなり暮らせって言われてもねー」
「怖い顔のお兄さんって……」

 エイミが聞くと、リーズはからからと笑った。

「もちろんジーク様よ! 昔は今よりずっと無愛想でさ、地獄の門番みたいだったんだから」

 リーズは地獄の門番とやらの顔真似をしてみせる。

 困ったことに、結構ジークに似ている。エイミは笑いをこらえるのに苦労した。

「ジーク様はいつも言ってた。衣食住は満足させられても、家族の代わりにはなってやれないって。君達の家族がいつか迎えにきてくれるなら、それが一番だって。もちろん……難しいのはわかっているんだろうけど」

 子供達は飢饉や震災、様々な事情で家族と離ればなれになった。もし生きていたとしても、再会できる可能性は低いだろう。

 そう考えると、ナットとお祖父さんの再会は奇跡的だ。なにより、お祖父さんはナットを探し続けてくれていたのだ。
< 189 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop