必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
「それと、もうひとつ。ジーク様自身もね、両親と悲しい別れを経験してる」
「そうなんですか?」
エイミはジークの両親のことをあまり知らない。ふたりとも亡くなっていると聞いただけだ。
「ジーク様の両親はとても優しい、ジーク様にそっくりの人柄でね、仲のいい家族だったんだ」
アルがこの城に来たときには、まだジークの両親は健在だったそうだ。
「ご両親は病気かなにかで?」
「うん、七年前。ナットが来る少し前のことだよ。国中に流行した伝染病でね。ジーク様はそのとき戦場にいて、知らせを受けてもすぐには戻れなかったんだ。どうせ負け戦なんだから、ほっといて帰ってこいって僕は言ったんだけどね」
思い出してしまったのだろうか。アルの顔が苦しそうに歪んだ。
負け戦ならなおのこと、ジークは帰れなかっただろう。その状況で仲間を置いていくなんて、絶対にできない人だ。
「で、結局間に合わなかった。戻ってきたときには、ふたりとも冷たくなってたよ。……ジーク様は自分が死ぬ覚悟はできていたんだ。戦場に行くんだからね。けど、大切な両親を失う覚悟はできてなかった」
「……初めて聞いた、そんな話」
ナットがぽつりとつぶやいた。
「そうなんですか?」
エイミはジークの両親のことをあまり知らない。ふたりとも亡くなっていると聞いただけだ。
「ジーク様の両親はとても優しい、ジーク様にそっくりの人柄でね、仲のいい家族だったんだ」
アルがこの城に来たときには、まだジークの両親は健在だったそうだ。
「ご両親は病気かなにかで?」
「うん、七年前。ナットが来る少し前のことだよ。国中に流行した伝染病でね。ジーク様はそのとき戦場にいて、知らせを受けてもすぐには戻れなかったんだ。どうせ負け戦なんだから、ほっといて帰ってこいって僕は言ったんだけどね」
思い出してしまったのだろうか。アルの顔が苦しそうに歪んだ。
負け戦ならなおのこと、ジークは帰れなかっただろう。その状況で仲間を置いていくなんて、絶対にできない人だ。
「で、結局間に合わなかった。戻ってきたときには、ふたりとも冷たくなってたよ。……ジーク様は自分が死ぬ覚悟はできていたんだ。戦場に行くんだからね。けど、大切な両親を失う覚悟はできてなかった」
「……初めて聞いた、そんな話」
ナットがぽつりとつぶやいた。