必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
「まぁ、楽しい話じゃないしね。ジーク様が積極的に孤児の救済をはじめたのも、それからだった。だからさ、ナット。ジーク様の気持ちとしては」

「待ってくれ、アル」
 
その声に、みなが振り返った。扉の前にジークが立っている。

「続きは、自分で言わせてくれ」

 アルは頷いた。

「いいタイミングで帰宅されましたね」
「いや、実は少し前からいたんだが、出ていくタイミングがつかめなくてだな」
「そういうかっこ悪い裏事情は、黙っとけばいいんです」
「そ、そうだな」


 ジークは意を決したように、ナットに向き直った。

「ナット。俺はな、ナットのことが、その、えっと……」

 ジークは頭をかいたり、視線をそらしたりして、なかなか本題に入ろうとしない。

「ジーク様、頑張って!」

 エイミは思わず声をあげた。
< 191 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop