必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
「……案外ベタな夢を見てたんだな」
「ちょっと重いわ。私、子供を産むなんて決めてないし」
「は? 僕は子供は最低でも三人は欲し……」
「はい。ふたりともシーですよ」

 エイミは両手でアルの口を塞ぐ。

 ナットはもうこちらのことは無視することに決めたらしい。

「だったら、なんでっ」

 泣き出しそうな顔でナットはジーク見た。ジークはとびきり優しい笑みで、それを受け止めた。

「たった今ティーザー伯爵に会ってきた。ナットに会えるまではって、ここから一番近い街に宿を取っているそうだ。アルの言う通り、ナットによく似た……優しい、素晴らしい人物だった。跡取り欲しさに急に言い出したわけじゃない。本当にずっとナットに会いたくて、探し続けてたんだ。娘さんの駆け落ちに反対したことをずっと悔やんでいたそうだ」
「そんなこと、急に言われたってさ……」
「ナットも、この城のみんなも、俺の大事な家族だ。誰ひとり欠けて欲しくなんてない。二度と会えないなんて考えたくもない。だからこそ、ティーザー伯爵の気持ちがわかる。彼がどれだけナットに会いたがっているか。会ってやってくれ、ナット。頼む」

 ジークはナットの手を握り、頭を下げた。
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