必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
続編 故郷へ
暗い部屋で、うずくまって泣いている女の子の背中が見える。
『はぁ。ミアやアイリーンは村でも評判の美人なのに、この子はどうして……』
『女の子は嫁に行ってもらわんと、食い扶持が減らなくて困るんだがなぁ』
『本当に気味の悪い目ねぇ。見ているこっちまで気分が悪くなるわ』
(この目も髪も、私のせいじゃない。お嫁に行けない分、農作業だって子育てだって誰よりも頑張ってる)
そう言えたら、よかったのかも知れない。ヘラヘラ笑ってばかりいないで、きちんと自分の意見を言えて
いたら……。そうしたら、もう少し……少しくらいは愛してもらえただろうか。
「どうした、エイミ! 大丈夫か?」
目の前にジークの心配そうな顔があった。
「あれ? 私、寝ぼけて……」
「うなされていたぞ。怖い夢でも見たか?」
「夢……見ていたような気がしますが、忘れちゃいました」