必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
「風邪をひくと言ってるだろ」

 アルは無表情のままリーズの服を整え、さらには自分の上着を脱いでリーズの肩にかけた。
 リーズはその上着をはぎ取り、アルの顔に投げつけてやった。

「うわっ」
「もういい! アルなんてだいっ嫌い」

 リーズはバタバタと大きな足音をたてて、アルの部屋を飛び出していった。


(見てたよね。しっかり見てたのに……ぜんっぜん、反応なかった)

 リーズは自分で思っていた以上のダメージを受けていた。捨て身の作戦に完全敗北してしまったからだ。
 あんなことしなければよかったと今さら後悔してみるが、もう遅い。アルは自分を女性として見てはいないのだ。
その事実をむざむざとつきつけられてしまった。

(わかってるわよ。アルから見れば子供なことくらい。でも年の差はどうにもならないじゃない! いくら頑張ったって、永遠にアルには追いつけない……)

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