必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
「そのことはもう気にするな。シェリンは幸い軽症だったし、それはエイミの処置がよかったからだと医者も言っていた。これからも三つ子の世話をよろしく頼む」
「えっ? クビじゃないんですか」

 エイミの言葉に驚いたのは、ジークの方だ。

「そんなこと思ってもいないぞ」
「けど、ジーク様とても怒ってましたし」
「それは、お前が自分を大切にしないからだ」

 エイミは訳がわからなかった。

「では、大事な話とは?」

 クビでなければ、減給だろうか。といっても、エイミの給金分はすべて両親に渡っている。あの両親がいまさらお金を返してくれるだろうか。

「とても大事な話だ。よく聞いてくれよ」
「はぁ……」

 よくわからないが、エイミはとりあえず頷いた。ジークはまっすぐにエイミを見つめた。

「エイミ、俺と結婚してくれないだろうか?」

 彼のその言葉は、エイミには異国の言葉のように聞こえた。意味を理解するのに、ずいぶんと時間がかかった。理解したらしたで、今度は頭が真っ白になってしまった。

「け、結婚?」

 ようやく、オウム返しにそれだけ言った。

「そうだ、俺と結婚して欲しい」

 エイミは開いた口が塞がらなかった。
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