必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
エイミはパニックになりそうな頭を必死で落ち着かせて、懸命に言葉を選んだ。
「ジーク様ではなく、問題があるのは私です」
「どんな問題だ? 解決に向けて、尽力しよう」
ジークはどこまでも、いい人だ。
「まず、私は平民です。それも貧しい村のなかでも、もっとも貧乏な家の。公爵様の奥様になれるような身分ではないです」
「公爵家が平民を娶ってはならないという法律は我が国にはないぞ」
「法的に問題なくても、周囲がきっと反対します!」
「俺の両親はとうに亡くなっているし、密に付き合いのある親類もない。ハットオル家の当主は俺だから、俺がいいといえばそれで問題ない」
「でも、でも、あっ! アルが、アルがきっと反対します。公爵の身分にふさわしい女性でなくては~なんて、言いそうです」
ジークははてと、首をかしげた。
「アルにはさっき伝えてきたぞ。俺の決めたことなら異論はないとのことだ」
「えぇ~!」
「あれは賢い男だ。意味もなく反対などしない」
(それって……絶対、呆れて投げやりになったんだ)
「では身分は置いておいて。私のこの黒髪と黒い瞳をよく見てください! 不吉ですよ! ノービルド領に良くないことが起こるかも」
エイミはまとめていた髪をほどいて、ジークに見せつけた。が、彼は嬉しそうに微笑んだ。
「……うん。やっぱりおろした方が似合うな。黒い瞳も黒曜石のようで、美しい。エイミは黒曜石を知ってるか? 異国ではとても価値のある宝石だ」
エイミはうーんと頭を抱えてしまった。いまのジークでは話が通じそうもない。
そもそも、なぜ唐突に結婚の話などが出たのだろうか。
「ジーク様ではなく、問題があるのは私です」
「どんな問題だ? 解決に向けて、尽力しよう」
ジークはどこまでも、いい人だ。
「まず、私は平民です。それも貧しい村のなかでも、もっとも貧乏な家の。公爵様の奥様になれるような身分ではないです」
「公爵家が平民を娶ってはならないという法律は我が国にはないぞ」
「法的に問題なくても、周囲がきっと反対します!」
「俺の両親はとうに亡くなっているし、密に付き合いのある親類もない。ハットオル家の当主は俺だから、俺がいいといえばそれで問題ない」
「でも、でも、あっ! アルが、アルがきっと反対します。公爵の身分にふさわしい女性でなくては~なんて、言いそうです」
ジークははてと、首をかしげた。
「アルにはさっき伝えてきたぞ。俺の決めたことなら異論はないとのことだ」
「えぇ~!」
「あれは賢い男だ。意味もなく反対などしない」
(それって……絶対、呆れて投げやりになったんだ)
「では身分は置いておいて。私のこの黒髪と黒い瞳をよく見てください! 不吉ですよ! ノービルド領に良くないことが起こるかも」
エイミはまとめていた髪をほどいて、ジークに見せつけた。が、彼は嬉しそうに微笑んだ。
「……うん。やっぱりおろした方が似合うな。黒い瞳も黒曜石のようで、美しい。エイミは黒曜石を知ってるか? 異国ではとても価値のある宝石だ」
エイミはうーんと頭を抱えてしまった。いまのジークでは話が通じそうもない。
そもそも、なぜ唐突に結婚の話などが出たのだろうか。