必殺スキル<子守り>だけで公爵夫人になっちゃいましたが、ほのぼの新婚ライフは幸せいっぱいです
「あの、なんで急に結婚をお考えになったのですか?」

 ジークは三つ子達に視線を向けた。

「アンジェラや三つ子達はまだ幼い。しっかりしてるが、リーズやナットだってまだ子供だ。母親と呼べる存在が必要なのでは……とずっと考えてはいた」
「……そういうことだったんですね」

 腑に落ちた、というようにエイミは頷いた。自分のためでなく、子供達のための結婚なのか。優しいジークらしい話だ。

「でも! それならなおさら、私なんかよりふさわしい方を探さなくては」
「エイミがふさわしいと俺は思った。だからプロポーズしたんだが」
「そんなあっさり決めたらダメですよ! そうだ、領内中の女性を集めて夜会でも開いたらどうですか? その中からジーク様が好みの女性を選ぶというのは?」
「以前、ゾフィーが似たようなことを画策したが……女達はこの城に近づくことすら嫌がったぞ」
「それは残虐公爵なんて、根も葉もない、どころか真逆の噂のせいですよー」

 エイミは叫んだ。

 真剣に取り合わないエイミを前にジークはふぅと小さくため息をついた。そして、おもむろに彼女の手を取った。
 急に手を握られたものだから、エイミはあわてふためいてしまいジークから視線をそらした。が、ジークはまっすぐにエイミを見つめている。

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