恋愛回数券
「おぃ!!!!」
無造作に出た言葉に、女の背中が立ち止まる。
振り返る表情が滲んだ。
「あばよ。」
俺の最後のあがき。
女はハの字にした顔を見せて…煩い外に吸われた。
雑音ひとつなぃ部屋に一人、俺がいる。
冷たい言葉でしか、相手に出来ない自分がいた。
今思えば、どの女よりもアイツが1番、俺自身を好きでいた。
顔でも、容姿でもなく、内面が好きだと、口癖の様に溢していた。
そんな奴にまで、俺は素直になれなかった。
“変わり何か腐る程いるしな”
不意に…己の台詞が蘇る。
女はいるが…アイツはいない。
そぅ、どこにも。