恋愛回数券


カーテンの隙間に見える低い空…どしゃ降りの雨音でさぇ、今の俺には聞こえず。




その時…マンションの外で傘も射さず、歩くアイツを見つけた。

一瞬、心臓が縮んだ。


暖かなこの部屋からも、アイツの温度が伝わった。




“私達…まだ、何も始まって無かったんだ”




アイツの台詞が背中から聞こえた。縮んだ猫みたぃにすぶ濡れのアイツ…



今なら、まだ間に合う。

気がする。



今スグに駆けて行き、小さく冷たい背中を抱き締める。

まだ間に合う。


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