新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
「今までなかったじゃない、ジョージが女の子と仲良く話すことなんて。でもわかるなー。涼ちゃんってなんか放っておけないタイプだよね。それでいてこの前みたいに、意外と芯が強くて真っ直ぐで。私が男だったら間違いなく惚れちゃうけど、ジョージは違うんだ?」

「あぁ、違うね」

 とは口で言いながらも、彩香の言うことは間違っていない。この前の件で、川端は芯が強い女性だと認識した。

 彩香以外の女性とは普段なら自ら声をかけたり、気にかけたりすることはない。

 それなのに、なにかと川端のことが気になる。うちにくるまで勤めていた会社での事情を知っているからだと思うが……。それだけではないのだろうか。

 頭を悩ませていると、彩香は「今はそういうことにしといてあげる」と言って、俺の背中を叩いた。

「あとになって、他の男に涼ちゃんを取られたって泣きついてきても、慰めてあげないからね」

「安心しろ。間違ってもお前に泣きつくことはないから」

 はっきり否定して、チラチラと様子を窺う川端のもとへ向かう。

 そうだ、川端に特別な感情などあるはずがない。だけどさっきから妙に心が揺れる。
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