新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

　三日に一度くらいのペースでふたりで彩香の実家を訪ね、親交を深めている。

　それに俺の父さんに直接会って気持ちを伝えたいと言い、どうにか会ってくれないかと奮闘している。

　そんなふたりとは違い、仕事が忙しくてなかなか時間をとれず、なにひとつ力になれない自分を歯がゆく感じていた。
　この日も十九時を過ぎても仕事が終わらず、オフィスでひとり残業をしていた。

「少し休憩するか」

　肩や首を回しながら自販機で珈琲でも買おうと立ち上がったとき、スマホが鳴った。

「誰だ？」

　ひとりごちながら電話の相手を確認すると、彩香だった。

　たしか今日は、川端を連れて店舗回りをして直帰の予定のはず。それに俺が残業するほど忙しいと知っている中、よほどのことがない限りいつも電話はしてこない。なにかあったのだろうか。

　不安になりながら電話に出ると、すぐに彩香の焦った声が聞こえてきた。

『もしもしジョージ!?　今、どこ？　会社？』

「会社だけど……どうしたんだ？」

　こんなに冷静さを欠いている彩香は初めてもしれない。

　聞くと彩香は早口で捲し立てた。