新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
『口走ってしまった気持ち』
 様々な色のマーカーペンを使って、自社製品の人気キャラクターを描いていく。

「ん、なかなかうまくできたよね」

 その出来に満足してオフィスの壁に掛けられている時計を見ると、十九時を回っていた。

「嘘、もうこんな時間!?」

 周囲を見渡せば、いつの間にか残っているのは自分ひとりだけ。急いで帰り支度をした。

 この度、小川さんの推薦もあり、Sスーパーの担当につくことになった。
 最初に話を聞いたときは驚いた。それというのも、一年経ってから担当を持つのが基本だと聞いていたから。

 金子さんは『教育係として鼻が高い』と喜んでくれたが、手放しでは喜べない。

 先輩たちからは『どうして?』『中途採用だから? 一年は先輩について勉強するものでしょ』といった意見もあるし、私自身もプレッシャーがある。

 だけどそれ以上に、やりがいを感じていた。

 さっそく金子さんにも同行してもらい、小川さんと商談した際にフェアの話を詰めた。日程も決まり、売り場でお客様の目を引くようなポスターやポップ作りをしている。
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