新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 新たな生活に夢を膨らませるふたりの一方で、ジョージさんは納得していない。
 
 上司として金子さんの仕事に対する思いは、誰よりも知っている。こんな理不尽なことで仕事を辞めることはないと。
『俺が父さんを説得する』と言い、連日社長に直談判をしている。

 ジョージさんは責任を感じているのかもしれない。それと私には、ふたりと離れることが寂しいと感じているようにも見える。

 だってずっと一緒だったんでしょ? 喜ばしいことだけれど、ジョージさんにとったら寂しくもあるよね。

 田舎に引っ越すと言っているし、そう簡単には会えなくなるわけだもの。

 もしかしたら私の思い過ごしかもしれないが、ジョージさんを見ていると、そんな気がしてならないんだ。

「どうなることがベストなんだろう」

 ポツリと漏らして最寄り駅へと向かっていく。

 金子さんには会社を辞めてほしくないし、シェアハウスでの生活も終わってしまうのは悲しい。

 半年も経っていないが、あの家での暮らしは心地よくて、なにより大家さんたちと過ごす毎日は楽しい。

 できるなら、この先もずっとあのメンバーで暮らしていきたい。
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