新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
「なぁ、川端さん。今日の昼休みランチ行こうよ。昨夜のお詫びに奢るからさ」

「えっ? いいよ」

「いいから。俺が奢りたいの。おいしい店見つけたんだ。絶対気に入ると思う」

 もしかしてまた私を励まそうとしてくれているのかな。だったら断ったら悪いよね。

「じゃあ行こうかな。でも! 割り勘ね」

「えぇー、そこは甘えていいのに」

「気持ちだけで充分だよ」

 そんなやり取りをしながらエレベーターに乗り、オフィスへと向かうと、多くの先輩たちが出勤していた。

 しかし二日酔いなのか頭を抱え、力なくうなだれている人が多い。

 そんな先輩たちを眺めながら席に向かうが、自分の隣の席がきれいに片づいているのを見て、寂しくなる。

 そうだった、もう隣の席に金子さんはいないんだ。なにかあったら聞くことも、相談することもできない。

 近々、金子さんの後任の教育係が決まると言っていたけれど、やっぱり最後まで金子さんに担当してほしかったな。

 もっと色々なことを教えてもらいたかった。
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