新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 椅子に腰かけて荷物を置き、パソコンを起動させる。

 カチカチとマウスを動かしてメールの確認をしていると、「おはよう」と挨拶をしてオフィスに入ってきたのは、ジョージさんだ。

 ジョージさんがオフィスにいると、いつも少しだけ空気がピリッとなる。

 彼が一番奥にある自分のデスクに向かう途中、みんな立ち上がり挨拶をしている。もちろん私も。

 だけど怖くて彼の顔を見られない。俯いたまま頭を下げ見送ると、ジョージさんの背中を視界がとらえた。

 相変わらず背筋がピンと伸びていて、凛々しいうしろ姿だ。

 腰を下ろし、メールをチェックしながらもチラチラとジョージさんを見てしまう。

 今朝、なにも言わずに家を出ちゃってどう思われたかな。なんとも思っていない?

 気になっていつの間にかジッと見つめていると、ふと目が合った。

 やばいっ!

 思いっきり目を逸らしたあとに気づく。これは完全に不自然だったと。

 だけど今さら後悔しても遅い。……どうしよう。

 頭を悩ませていると、ある先輩がジョージさんに声をかけた。
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