新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

「新川部長、いいですか？」

「あぁ、どうした？」

　顔を上げると、なにやら真剣な表情で話をしている。私の考えすぎなのかも。

　ただちょっと目が合ったに過ぎないし、向こうはそう思っていないかもしれない。私越しに誰か見た可能性もある！

　必死にそう自分に言い聞かせて、私も仕事に取りかかった。

　集中していると時間は刻々と過ぎ、昼休みを迎えた。キリがいいところでデータを保存し、グンと腕を伸ばすと井手君が駆け寄ってきた。

「お疲れ。早く行こう。すぐ行列ができちゃうから」

「わかったよ」

「早く」と急かす井手君に笑みを零しながら立ち上がり、バッグを手にしたとき。

「川端、ちょっといいか？」

　私を呼ぶ声に心臓が跳ねる。真っ直ぐに歩み寄ってくるのは、ジョージさんだから。

「仕事のことで話があるんだ」

「仕事のこと、ですか？」

　思わず聞き返してしまった。だってもしかしたら違うかもしれないでしょ？　昨夜のことかもしれない。

「あぁ、少し時間をくれ」

　どうしよう。でも仕事の話だと言われたら断れないよね。