新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 耳を塞ぎたい衝動に駆られるもそれはできず。ジョージさんは静かに言った。

「うちは社内恋愛を禁止していない」

 そう言うと、ジョージさんは手を叩いた。

「もう昼休み終わっているぞ。各自仕事に就け」

 集まっていたみんなを席に戻るよう促し、ジョージさんも私たちに「仕事に戻れ」とだけ言って、自分の席へと戻っていく。

 どうしよう、泣きそう。

「俺、謝らないから。川端さんを落とすには、外堀から埋めるべきだと思うし」

 そっと耳打ちすると、井手君も自分の席へ戻っていく。私も必死に涙をこらえて席に戻り、仕事をしようと思っても手が震える。

 こんなことになるなら、今朝逃げたりしないで事実を確認するべきだった。

 もしジョージさんが昨夜のことを覚えていなかったら、さっきの言動からして、本当に私は彼にとって特別な存在ではないということだろう。
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