新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

　それなりに恋愛をしてきたつもりだが、これほど惹かれる相手は初めてだった。そう思うと俺にとって川端は初恋なのかもしれないな。

　まだアルコールも完全に抜けておらず、川端のこともあり食欲もない。

　自販機で珈琲を購入し、誰もいない廊下を進んでいると電話がかかってきた。

　立ち止まって相手を確認すると、彩香からだった。

　たしか今日の昼は陸と待ち合わせをしてランチするって言っていたよな。そこに俺も誘おうとなったのだろうか。

　そんなことを考えながら電話に出ると、すぐに彩香の焦った声が聞こえてきた。

『ジョージ、大変なの！　あぁ、もう……！　どうしたらいいの、これ!!』

　どうやらランチのお誘いといった雰囲気ではなさそうだ。

「どうしたんだよ、彩香。落ち着いて話せ。それか陸に代わってくれ」

　陸に聞いたほうが早そうだ。

『そ、そうね！　それがいいわ。私はふたりの動向を探ればいいし。陸、ちょっと変わって』