新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 川端に惹かれる気持ちは理解できる。それほど彼女は魅力的な女性だと思うから。

 それに決めるのは川端だ。俺がどうこう言えたことじゃない。……それなのに、なぜこんなにも動揺しているのだろうか。

 井手が川端の手をとったことに対してもイラつき、告白をしたと聞いただけで心が落ち着かない。

 こんな気持ち、初めてだ。

 しかし初めて抱く感情は、これだけではなかった。

 昼休みが終わりオフィスへ戻ると、なにやら騒がしく、その中心にいたのは井手と川端だった。

 交際していると勘違いした同僚たちの誤解を解いたのは井手だったが、その後、俺に向かって宣戦布告ともとれることを言ってきた。

『もちろん新川部長も応援してくれますよね? 俺の恋を』

 応援などできるわけがないだろ。俺だって川端のことが好きなのだから。

 ピタリと川端に寄り添っている井手に怒りを抱き、ふたりがお似合いだと盛り上がる同僚たちが面白くなくて、苛立ちを隠せなかった。それが彼女を好きだという証拠だ。

 しかし、こんなの俺らしくない。
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