新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

「本当？　嬉しいな。ありがとう」

　あぁ、女神のように優しく微笑む金子さんが眩しい。

　金子さんがシェアハウスの住人でよかった。……しかし、まだまだ疑問はたくさん残っている。

　チラッと隣に座る新川部長を見れば、感情が読み取れない顔でただ静かに珈琲を啜っていた。

　後をつけてきたという誤解はとけたと思う。しかし、なぜ金子さんもだけど、荒川部長もここに住んでいるの？　ふたりならいいところに住めるはず。

　大家さんとは幼なじみだと言っていたが、婚約者同士のふたりがどうして大家さんとともに三人で暮らしているのだろうか。

　考え込んでいると、なぜか大家さんが新川部長に目配せした。

「ほら、ジョージ。ちゃんと謝れ」

　小声でボソッと囁くと、新川部長は手にしていたカップを置いた。

「わかってるよ」

　ぶっきらぼうに言う彼を見れば、真っ直ぐに私を見つめてきた。真剣な面持ちに息を呑む。

「さっきは悪かった。……俺をつけてきたと決めつけて。失礼なことを言ってしまい、すまない」

「あっ……いいえ！　その、私のほうこそ早く今日からここに住むことになっていると言わずにすみませんでした」