新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
「よかった。……だけどまさかあれだけで逆上せるとは」

「クククッ」と喉を鳴らして笑うジョージさんに、かあっと身体中が熱くなる。

 そ、そうだった……! 私、ジョージさんに抱きしめられて、頬やこめかみなど、至るところにキスをされて、それで……っ!

 鮮明に思い出すと、居たたまれなくなる。

 でもそれと同時に実感する。私、ジョージさんと本当に両想いになれたのだと。

 チラッと見れば、目が合うなりジョージさんは蕩けちゃいそうなほど優しく微笑んだ。

 胸がギュッとしめつけられて苦しくなる中、ふと彼が手にしている漫画が目に入る。

「ジョージさん、それっ……!」

 慌てて奪おうとするより先に、ジョージさんは手を上げた。

「寝ている間に、ほとんど読ませてもらったよ」

 嘘でしょ、ほとんどって……!

 本棚にあるのは叶先生の作品の他に、胸がきゅんきゅんするような夢いっぱいの恋愛漫画。それをジョージさんに見られたの?

 言葉にならなくて口をパクパクさせる私に、ジョージさんはイジワルな顔で言った。

「こういう恋愛やシチュエーションに憧れているのか?」

「そ、それはっ……ですね!」

 その間も漫画を奪おうと手を伸ばすも、ことごとく交わされてしまう。
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