新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 笑いをこらえながら聞かれ、身体中の熱が上昇する。

 そんなに笑わなくてもいいじゃないですか。それに仕方のないことだ。

「しょうがないじゃないですか! ……キスするの、初めてだったんですから」

 ジロリと睨んで言ったというのに、ジョージさんは嬉しそうに笑った。

「そっか。じゃあこれからすることは全部俺が初めてなんだ」

 事実だが、改めて口にして言われると恥ずかしいものがある。

 押し黙るとジョージさんのイジワル心に火をつけてしまったようで、私の肩に腕を回して顔を近づけてきた。

「さっそく次のステップに進もうか。……まずはキスの合間に息をする方法から教えないとな」

「えっ!? またキスするんですか?」

「するに決まってるだろ? まだまだ足りないくらいだ」

 そう言うくせに、ジョージさんは唇が触れそうで触れない距離を保って焦らす。

 私の反応を見ておもしろがっているよね?

 悔しいけれど、恋愛未経験の私とジョージさんでは、経験値の差が大きくて勝てそうにない。

 ただジッと睨むことしかできずにいると、ジョージさんは「じゃあはじめようか」と言って瞼を閉じた。

 キスされる。そう思い、私も瞼を閉じたとき、勢いよくドアが開いた。
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