新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 大家さんたちと一緒にいる新川部長は、抱いていたイメージとは違うと思っていたけれど、そんなことはなかったね。

 こうして自分に非があれば、しっかりと相手に謝罪できる人なんだ。好きな人が誠実な人でよかった。

 胸を撫で下ろし、お互い謝り終えたところで感じる視線。生温かい目で大家さんと金子さんが私たちを見ていた。

「おい、陸。やめろその目! そもそもお前が悪いんだからな。どうして川端が新しい住人だって言わなかった?」

「それはもちろん、ジョージのその驚いた顔が見たかったからだよ。実際にびっくりしただろ?」

「あぁ!」

 誰がどう見ても新川部長は怒っているとわかるのに、大家さんはまるで挑発するかのようにからかい口調で続ける。

「内見にきたときに涼ちゃんに勤め先を聞いたら、採用先はジョージの会社だって言うじゃないか。これはもうビビッと運命を感じたんだ」

「どうしてお前が運命を感じたんだよ」

 呆れた物言いの新川部長の隣で、私は内見の日のことを思い出してサッと血の気が引く。

 そういえば私、あの頃は舞い上がっていて大家さんにあれやこれをベラベラしゃべらなかった?
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