新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

「どうだったの？」と催促され「えっと……」と、誤魔化しながらどう答えるべきかと迷っていると、私たちの間に井手君が割って入ってきた。

「すみません、そのへんで勘弁してもれませんか？　実は昨日、はっきりと川端さんに振られちゃったんです」

　えっ……？　井手君？　どういうこと？

　話が見えなくて、先輩たちと一緒に井手君を見つめる。

「どういうこと？」

「井手君が振られたって……」

　先輩たちの視線が私に向けられると、すかさず井手君が口を開いた。

「川端さんにはずっと想いを寄せている人がいるそうです。それを言われちゃったら、諦めるしかないじゃないですか。なので！　短い間ですが、俺の恋を応援してくださり、本当にありがとうございました！　今後はぜひ新たな出会いを提供していただけると助かります！」

　明るく言う井手君に、先輩たちは顔を見合わせた。

「そうだったんだね。ごめんね、川端さん。私たち勝手に盛り上がっちゃって」

「井手君もごめん」

　口々に謝る先輩たちに大きく首を左右に振った。