新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 故郷のことや、以前勤めていた会社を辞めた理由に就職先はもちろん、面接で出会った人に運命を感じ、その人と素敵な恋愛をするとか、第二の人生を歩む覚悟で上京してきたとか。

 し、しかも私……その運命を感じた相手が、その会社の御曹司だということまで話したよね?

 ということはつまり、大家さんは最初から私がひとめ惚れした相手が新川部長だと知っていたということ……?

 そこまで考えがいきつくと居ても立っても居られず、勢いよく立ち上がった。

「おっ、大家さん……っ! ちょっとよろしいでしょうか!!」

「へ?」

 突然立ち上がり、大きな声を出した私に三人はキョトンとなる。しかし私は素早く移動して大家さんの腕を掴んだ。

「お願いします!」

「えっ? あっ、ちょっと涼ちゃん!?」

 大家さんの腕をグイグイ引っ張ってリビングから廊下に出た。

 そのまま玄関まで行き、目を白黒させる大家さんに向かって大きく頭を下げた。

「お願いします! どうか内見した日に私が話したことは、秘密にしてください!」

 あのふたりにバレたら、ここで暮らしていけないよ。

「涼ちゃん、顔を上げて。安心して。もちろん誰にも話すつもりはないから」

「本当ですか?」

 情けない声を出して顔を上げれば、大家さんは大きく頷いた。
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