新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
「それじゃ涼、さっそく風呂に入ろうか」

「えっ!?」

 い、いきなりですか!?

 慌てふためく私を余所に、ジョージさんはお風呂に入る準備を進める。
 浴衣などの着替えにアメニティをまとめると、「涼も早く準備して」と言う。

 どうしよう、まさか到着してすぐにお風呂に入るなんて……! まだ心の準備ができていない。

 それでもどうにか準備を終えると、ジョージさんはニッコリ微笑んだ。

「じゃあ行こうか、風呂に」

「は、はい」

 バクバクと心臓を鳴らしてジョージさんの元へ歩み寄ると、なぜか彼はドアのほうへ向かう。

「ジョージさん、どこに行くんですか?」

 露天風呂はバルコニーにあるのに。

 不思議に思い声をかけると、立ち止まって振り返ったジョージさんは首を傾げた。

「どこって……本館にある大浴場に行くんだろ?」

「大浴場ですか?」

 てっきり部屋のお風呂に入るとばかり思っていた私は、拍子抜けしてしまう。

 そんな私を見てジョージさんは、からかい口調で言う。

「なに? もしかして涼は部屋の風呂に入りたかった?」

「えっ!? ちがっ……! 違います!!」
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