新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 笑顔で伝えると、ジョージさんは目を瞬かせた後、優しく微笑んだ。

「そっか。……だけどそれだけか? うちの会社に入って幸せだと思ったのは」

「えっ?」

 ジョージさんの言っている意味がわからなくてキョトンとなるも、少しするとなにが言いたいのか理解できて、目が泳ぐ。

「えっと……ジョージさんにも出会えて幸せです」

 きっと彼が求めている答えはこれのはず。
 どうやら正解だったようで、ジョージさんは満足げ。

「俺も幸せだよ、涼と出会えて」

 そして甘い言葉を囁かれたら、もうどうしたらいいか……。

「ありがとうございます」なんて言ったら、ジョージさんはクスリと笑い、庭園へと目を向けた。

 心地よい風が吹くと、下ろしている彼の髪がさらさらと揺れる。

 本館のお風呂から出たときからずっと思っていたけど、ジョージさん、浴衣がすごく似合う。
 かっこいいし、男の色気が倍増する。ワインを飲む姿もまた惚れ惚れしちゃう。

 うっとりと眺めていると、ジョージさんは手にしていたグラスをそっとテーブルに置いた。
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