新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 初恋の人で、すごくすごく大好きな人。彼以上に惹かれる男性には出会えないと思う。

「ありがとう」

 ゆっくりと抱き寄せられていく身体。彼の背中に腕を回してギュッとしがみつくと、ジョージさんは優しく私の背中を撫でながら続ける。

「ひとつ、提案があるんだけど」

「なんでしょうか?」

「陸たちが結婚したら、俺のマンションで一緒に暮らさないか?」

 耳を疑う提案に顔を上げると、目が合ったジョージさんは気まずそうに頬を掻いた。

「実はもうそのつもりで、陸に涼の引っ越し先は探さなくていいって言ってあるんだ。……涼をひとりにするのは不安だし、なにより俺が少しでも多くの時間を涼と過ごしたいんだ。……どうだろうか」

「……っ」

 そんなの答えはひとつしかない。

「ジョージさんがいいなら、一緒に住みたいです」

 私もできるだけ長くジョージさんと一緒にいたい。それに本当はずっと不安だった。

 シェアハウスを出て、ひとりで暮らすことが。だからすごく嬉しい。

「ありがとうございます」

 再び抱きつくと、ジョージさんは抱きしめ返してくれた。
< 209 / 277 >

この作品をシェア

pagetop