新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 キングサイズの大きなベッドの前で足を止めると、私と向き合った。

「本当にいいのか? ……怖くない?」

 ジョージさんはどこまで優しい人なのだろうか。ここまできて、今さらやめてなど言わないのに。

「怖くありません。だってジョージさんだから」

 初めて相手がジョージさんで幸せだ。

「涼……」

 私の名前を呟くと、荒々しく唇を塞がれた。すぐに口を割って入ってきた舌が私の身体を甘く痺れさせる。

「んっ……あ」

 声が漏れるたびに、執拗に舌を絡めとられ自分の足で立っているのも限界。

 ふらついた瞬間、そのままベッドに押し倒された。キスは止まることなく降り注がれる。

 知らなかった。キスがこんなにも気持ちいいものだったなんて。
 初めて知る快感に、身体が震える。

 彼の大きな手が衿の中に入り、浴衣が解けていく。空気に触れてひんやりするも、すぐに彼の熱が私を熱くさせる。

「涼……」

 何度も愛しそうに私の名前を呼び、ジョージさんは優しく私を抱いた。

 痛がる私を気遣い、甘くとろけるほどに。

 これほど心が満たされたことはない。きっと……ううん、絶対のこの日の夜のことを私は一生忘れないだろう。

 朝、目がさめると、目の前に大好きな人の寝顔があり、右手の薬指には指輪がはめられているのを見て、心からそう思った。
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