新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
「失礼します」

 凛とした女性の声に、緊張が高まる。廊下と部屋を区切っている障子へと目を向けると、着物姿の女性が入ってきた。
 美しすぎる女性に目を見張る。

 ゆっくりと私たちの前で立ち止まり腰を下ろすと、丁寧に頭を下げた。

「初めまして。丈二の母です」

「あっ! は、初めまして! 川端涼と申します!」

 後ろに下がって深々と頭を下げると、頭上からふたりの笑い声が聞こえてきた。

「ふふふ、丈二が言っていた通り可愛らしいお嬢さんね」

「だろ?」

 仲睦まじいやり取りに顔を上げると、ふたりは私を見て目を細めた。

「母さん、改めて紹介させてくれ。俺が結婚を考えている川端涼さん。素直で一生懸命。きっと母さんも涼のことを知ったら、好きになると思う」

「そう思うわ。……涼ちゃんって呼んでもいいかしら?」

「えっ? あっ、も、もちろんです!!」

 すぐさま返事をすると、お母さんは嬉しそうに微笑む。

「ありがとう。私、ずっと娘がほしかったの。今度ぜひ買い物に行ったり、ランチしたりしましょう。丈二の話をたくさんしてあげるわ」

「おい、母さん。あまり涼に変なことを吹き込むなよ」
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