新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
「あら、失礼ね。そんなことしないわよ。ただ、丈二の可愛い幼少期のエピソードを教えてあげようと思っているだけ」

「それが変なことだって言ってるんだよ」

 あ、あれ……? ジョージさん、すごくお母さんと仲が良い、よね? お父さんとはもちろん、お母さんとも疎遠になっていると思っていたんだけど、違ったのかな?

 ポカンとしていると、私に気づいたジョージさんは困ったように眉尻を下げた。

「母さんとは見ての通り、関係は良好。……昔から父さんとだけは、ソリが合わなくてさ。それに苦手で避けてもいたしな」

「そう、なんですね」

 そういえばジョージさんから、お母さんとの関係もよくないとは、一度も聞いていない。そっか、お母さんとは関係は良好なんだ。

 こうして見ていると、私とうちのお母さんより仲が良いかもしれない。

「どうしたんだ? 涼」

「あ、いいえ。その……私、勝手にお母さんとも仲が悪いと思っていたので、よかったなって思って」

 思ったことをそのまま口にすると、ジョージさんは目を見開いた後、どこか嬉しそうに頬を緩めた。そしてなにも言わずテーブルの下で私の手を握る。
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