新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 そう思ってもいいんだよね、きっと。

 安心したところで、手土産の存在を思い出す。

「あっ! すみません、これよかったら」

 ジョージさんの手を離して、持ってきた栗羊羹を渡した。

「ごめんなさい、気遣わせちゃって。……あら、栗羊羹じゃない。嬉しいわ。さっそくいただきましょう。……いい加減、主人も連れてこないとね」

 困ったように笑うお母さんに、なんとなく察する。

 お母さんとは違い、社長は私のことを認めていないと。むしろ大反対されているのかも。
 そう思うとまた緊張がはしる。

「ちょっと待っててね」

 栗羊羹が入った袋を手にお母さんが立ち上がると同時に、勢いよく障子が開いた。

 視線を向けると、そこに立っていたのは和服姿の社長だった。部屋の中に目を向けると、社長は無言のまま室内に入り、私たちの前に腰を下ろした。

「ちょうどよかったわ、今あなたを呼びにいこうと思っていたの」

 お母さんが話しかけても、社長はいっさい口を開かない。
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