新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

「父さんに言われた通り、涼を連れてきた。……ちゃんと紹介してくれないか？」

　ジョージさんの言葉にも無反応で、固く瞼を閉じてしまった。

　どうしよう、やっぱり私……歓迎されていない雰囲気だよね？　いや、だからと言ってこのまま押し黙っているわけにはいかない。せめて挨拶だけでもしっかりしないと。

　重苦しい空気が流れる中、自分を奮い立たせた。

「あの、初めまして。川端涼と申します」

　社長に向かって頭を下げるものの、言葉が返ってこない。代わりに深いため息が聞こえてきた。

　顔を上げると、社長は呆れた目をジョージさんに向けていた。

「丈二、お前には心底失望したよ」

　第一声を聞き、耳を疑う。だって失望した、だなんて……。

　どうしよう、私……ジョージさんの顔を見ることができない。だって社長にこんなことを言われたのは、絶対に私のせいだよね？

　結婚したい相手が私だから、失望したって言ったんでしょ？

「あなた、涼ちゃんのいる前でなんてことを言うんですか！」

「お前は黙っていなさい！」

　お母さんを一喝し、社長は厳しい言葉をジョージさんにぶつけていく。