新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
『ハッピーウエディング!』
 週も半ばの水曜日の夜。パソコンのモニターには、こちらに向かってにこやかに手を振る大家さんと金子さんが映った。

『わー、涼ちゃん久しぶり! ……と言っても、つい最近引っ越したばかりだけどね。でもずっと会っていなかった感じがする』

「私もです」

 まだ一ヵ月も経っていないというのに、すごく長い期間会っていない気がするよ。
 ふたりはとても元気で幸せそうで、こっちまで嬉しくなる。

「そっちでの暮らしはどうだ? 少しは慣れたか?」

 隣に座るジョージさんが聞くと、ふたりは待ってました!と言わんばかりに話してくれた。

 田舎での暮らしはふたりに合っていたようで、毎日が楽しくてたまらないらしい。

 大家さんは筆が進んでいるようだ。そして空いた時間には、金子さんと一緒に庭で畑を耕したり、買い物に行ったり、散歩に行ったり。

 こちらにいたときよりも、充実した時間を過ごしていると話してくれた。

 生き生きと新生活について話すふたりを見て、ジョージさんも私も自然と笑顔になる。

『……って、ちがーう! 私たちの話はいいのよ!』

 急に大きな声を上げると、金子さんは今にも泣きそうな声で言った。

『ごめんね、私たちのせいで……』

『ジョージには迷惑をかけてばかりだな』

 申し訳なさそうにシュンとなるふたりに、私もジョージさんも否定した。
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