新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
きっと彼は私の運命の人に違いない。そう思えば思うほどそんな気がしてきて、たった数分間の出会いで一言二言言葉を交わしただけの彼に、私は恋心を募らせた。
名前と勤め先しか知らないというのに、こんなに好きなのは運命の人だからだ! ――なんて、理由をつけて。
冷静になれた今となっては恥ずかしい限りだ。私は恋に恋をしていたのだから。
数時間前、入社式が終わるとそのまま辞令式に移った。そこで私はなんと彼と同じ営業部に配属。
直属の上司となり、私の前に現れたのだ。
「カッコよかったな、新川部長」
ため息交じりに漏れた声。最寄り駅に着き、ホームに降りて電車を待つ中、おもむろに夜空を見上げた。
そして瞼を閉じれば、鮮明に浮かぶ。上司として私の前に現れた彼のことが。
黒のスーツに皺ひとつない淡いブルーのシャツに合わせていたのは、ストライプ柄のネクタイ。
ツーブロックの短い黒髪は、前髪をアップバングにして立たせることで、男らしく、爽やかな印象を与えていた。
『入社、おめでとうございます。営業部部長の新川丈二です。三十歳とまだまだ経験が浅く、頼りない上司かもしれませんが、わからないことがあればどんどん聞いてください。ふたりの成長を楽しみにしています』
微笑むと切れ長の目尻に、少しだけ皺が刻まれるのもまた素敵! なんて、完全に浮かれていたよね、私。
新川部長には、すごく素敵でお似合いの婚約者がいるとも知らずに。
名前と勤め先しか知らないというのに、こんなに好きなのは運命の人だからだ! ――なんて、理由をつけて。
冷静になれた今となっては恥ずかしい限りだ。私は恋に恋をしていたのだから。
数時間前、入社式が終わるとそのまま辞令式に移った。そこで私はなんと彼と同じ営業部に配属。
直属の上司となり、私の前に現れたのだ。
「カッコよかったな、新川部長」
ため息交じりに漏れた声。最寄り駅に着き、ホームに降りて電車を待つ中、おもむろに夜空を見上げた。
そして瞼を閉じれば、鮮明に浮かぶ。上司として私の前に現れた彼のことが。
黒のスーツに皺ひとつない淡いブルーのシャツに合わせていたのは、ストライプ柄のネクタイ。
ツーブロックの短い黒髪は、前髪をアップバングにして立たせることで、男らしく、爽やかな印象を与えていた。
『入社、おめでとうございます。営業部部長の新川丈二です。三十歳とまだまだ経験が浅く、頼りない上司かもしれませんが、わからないことがあればどんどん聞いてください。ふたりの成長を楽しみにしています』
微笑むと切れ長の目尻に、少しだけ皺が刻まれるのもまた素敵! なんて、完全に浮かれていたよね、私。
新川部長には、すごく素敵でお似合いの婚約者がいるとも知らずに。