新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

「お、大家さん？」

　すぐに顔を下に向けたが、間違いなく大家さん、泣いているよね？

　困惑していると、金子さんも目を拭いながら声を震わせた。

「よかったね、陸。……陸の作品を読んでもらい、こうして読者楽しんでもらえていて」

「あぁっ……！」

　大家さんの声も震えている。そしてゴシゴシと涙を拭うと顔を上げて、大家さんは私に眩しい笑顔を向けた。

「ありがとう、涼ちゃん。俺の作品を好きになってくれて。リアルなファンに会ったのは初めてで嬉しいよ」

「だから言ったでしょ？　陸の作品は面白いって。涼ちゃんのようなファンはたくさんいるんだから、これからも頑張って」

「そうだな」

　まるで自分のことのように喜ぶ金子さん。大家さんを見る目は優しくて嬉しそうで、本当に大家さんのことを愛しているということが伝わってくる。それは大家さんも同じ。
　ふたりは本当に愛し合っているんだ。

　大好きな叶未来先生が、あんな素敵な作品を生み出せるのは、先生自身に愛する大切な人がいて、とても幸せな恋愛をしているからなのかもしれない。