新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 ふたりの幸せな姿を見つめていると、金子さんはハッとなり慌てて言った。

「あ、あのね。それで涼ちゃん。会社のみんなには……」

 そこまで言われたら金子さんがなにを言いたいのか理解できる。

「はい、もちろん誰にも言いません。全力でおふたりの恋を応援します!!」

 笑顔で伝えれば、ふたりはホッとした様子。

「ありがとう、涼ちゃん。住んでくれたのが涼ちゃんで本当によかったね」

「あぁ。実はここ、元々はシェアハウスではなかったんだ」

「えっ、どういうことですか?」

 思わず聞き返すと、大家さんが話してくれた。

「両親は俺が大学生の頃に事故で亡くなり、落ち込む俺を見兼ねてジョージが頻繁に泊まりに来てくれるようになったんだ。そこに彩香もついてきて、俺たちの仲は深まったわけだが。……それから気づいたら一緒に暮らしていた感じでさ」

「もちろん私もジョージも、ちゃんと涼ちゃんと同じ額の家賃を払っているの。だからシェアハウスみたいなものだけどね」

「本当は住人を増やすつもりはなかったんだが、小説だけの収入だけは正直厳しくて……」

 そうだったんだ。じゃあ私が住む前からここで暮らしていたのは、三人だけだったんだね。

 納得していると、なぜか金子さんはにっこり微笑んだ。
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