新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

　期待しちゃうよ。出会って間もないけれど、ジョージさんの中で私という存在は部下でありシェアハウスの住人であり。そして少しだけ特別な存在になれるのかもしれないと。

　だけどいつまでも見つめられたままだと、恥ずかしくて死にそう。甘い雰囲気に耐え切れなくなり、思いつくままに声を発した。

「あ、あの！　大家さんや金子さんにも、作ってあげたんですか？」

　当たり障りない話をすると、ジョージさんは器用にフォークにパスタを巻きつけながら言った。

「あぁ、月一のペースで作らされているよ。あいつら、作れってうるさいから」

　口ではそんなことを言いながら、どこか嬉しそう。本当に三人の仲の良さが窺える。

「そうだ、陸から聞いたよ。災難だったな、あいつらのキス現場に遭遇して」

「えっと……はい」

　昨日は本当に衝撃を受けた。だってまさか夢にも思わないじゃない？　ジョージさんがフェイクで、大家さんが本命だなんて。

　いまだにふたりのキスシーンが鮮明に思い出せて、かき消すように首をブンブンと振った。

　するとジョージさんは手にしていたフォークを置き、頬杖をついた。