新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

「それとこれも聞いた。川端、陸のファンだったんだって？　あいつ、よほど嬉しかったのか泣きながら話してきたよ。そんなにあいつの小説って面白いのか？」

「はい！　それはもうっ……！」

　思わず言葉に力が入ると、驚いたジョージさんは目を瞬かせた後、声を上げて笑った。

「アハハッ、そうか。そんなに好きなんだ？　そりゃ陸も喜ぶな。……ここ最近、スランプだって言っていたから。川端の存在が活力になったと思う。……ありがとう」

　まるで自分のことのように喜び、お礼を言う。それほどジョージさんにとって大家さんは大切な存在なんだろうな。
　またひとつジョージさんのことを知ることができて、好きって気持ちが大きくなる。

　ジョージさんは再びフォークを手にして食べ進めていく。

「まぁ、スランプといってもあいつは単純だから、彩香に『頑張れ』って言われれば、徹夜して書いているけどな。本当、見ているこっちが恥ずかしくなるくらい彩香のことが好きなんだ」

　呆れ気味に言うが、やっぱり気になってしまう。ジョージさんは金子さんのことをどう思っているのかが。

　聞いてもいいかな？　だってすごく気になる。
　その思いが強くなり、切り出した。

「あの、不躾なことを聞いてもいいでしょうか？」

　断りを入れると、ジョージさんはすぐに「どうぞ」と言う。そんな彼に恐る恐る聞いた。