新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
 チラッと彼を見れば、まだ笑っていて悪いと思っているようには見えない。
 ムッとなると、ジョージさんは目を細めた。

「川端があまりに素直で可愛いから悪いんだぞ? 可愛すぎて笑いたくなる」

 可愛すぎて笑いたくなるって……! それはいったいどういう意味でしょうか?

 どう捉えればいいのかわからなくて首を捻ると、ジョージさんは真っ直ぐに私を見つめた。

「話しは戻るけどさ、本当に俺が彩香を好きになることは、絶対にない。妹のような存在だからこそ、陸と幸せになってほしいと願っている。さすがにもう信じてくれたか?」

「……はい」

 そこまで言われたら疑う余地などない。……よかった、ジョージさんが金子さんを好きじゃなくて。

 ジョージさんがずっと自分の気持ちを抑え、報われない恋をしていなくて本当によかった。

「あいつの小説って、苦境からの大団円ってパターンが多いと思わないか?」

「えっ? あ……たしかにそうですね」

 急に聞かれて戸惑うものの、叶先生の作品を思い出すとジョージさんの言う通り、苦境や逆境、不幸のどん底からのハッピーエンドが多い。それがまた叶先生らしい作品で安心して読めるところだけど。
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