新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

「あの、社内で流れていた噂は本当なんですか？　……ジョージさんと金子さんの結婚式の日取りが決まったって」

　途端に三人は目を丸くさせた。

「やだ、結婚式の日取りが決まったなんて騒がれていたの？　噂って本当に怖いっ……」

　震える声で言うと、金子さんの目からは大粒の涙が零れ落ちた。
　その姿に噂は本当だったのだと思い知る。

「父さんたちがそろそろ結婚するべきだって言い出して、勝手に結納の日取りを決めたんだ。……俺と彩香も今日聞かされてびっくりしたよ」

　ため息交じりに言うと、ジョージさんは頭を抱え込んだ。

「俺が一人前になるまで待つと言っていたくせに、友人たちの孫自慢を聞いて、『結婚することで責任感も生まれ、よりいっそう仕事に精進できるだろう。すべてお前のためだ』なんて勝手なことを言う。一方的に言い、俺の話など聞かずに電話を切りやがった」

「うちの親もそう。『仕事はいつでもできるけど、子育ては若いうちだけしかできないんだから、結婚を機に仕事を辞めたらいい』なんて言うの」

　口々にジョージさんと金子さんが言うと、大家さんが申し訳なさそうに頭を下げた。