新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~
「ふたりとも、本当にごめん」

 だけど大家さんはそれ以上言葉を発することはなく、頭を下げ続けるだけ。
 言葉を詰まらせる三人に、様々な思いが込み上がる。

 三人それぞれの事情を私は知らない。だけど知らないからこそ言いたい。だってどうするべきかなど、明白じゃない。

「もう逃げたり偽ったりしないで、真正面からぶつかるべきじゃないですか?」

 静かな室内に響いた私の声に、三人は顔を上げた。

 無責任なことを言うなと言われるかもしれないが、言わずにはいられないよ。

「だって結婚するのは、ジョージさんと金子さんのご両親じゃなくておふたりですよ? 結婚は好き合っている人同士がするものなのに、おかしいじゃないですか。おふたりの人生はおふたりのものです」

「涼ちゃん……」

 私の名前を呟き、ジッと見つめる金子さんと大家さんに訴えた。

「たとえ反対されたって、何度も挑めばいいんです。大家さんと金子さんの気持ちは、反対されたくらいじゃ揺るがないものですよね? それに大家さんの仕事は素晴らしいです! 誰もができることじゃない。だって大家さんの綴る文字で、読者である私たちはいつも幸せな気持ちになれるんです。それなのに作者の大家さん自身が、幸せにならなくてどうするんですか!」

 感情は昂ぶり、思わず立ち上がった。
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